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今治シビックプライドスクール 第4回

  

―第2期 みなとを取り巻く「まちなか」とはなにか― 

                    【まちの空洞化・砂漠化を考える】

生き続けられる都市へ

日時:平成22年12月6日(月)

   午後7時00分~午後9時00分

場所:今治中央住民センター

講師:名城大学都市情報学部教授 海道 清信

持続可能な都市(サスティナブルシティ)にするためには、環境、経済、社会の要素がバランスよく保たれる必要がある。支えるものとして、ハードウエアとしては、都市空間。ソフトウエアとしては都市経営がある。これらが機能すればうまくいくのではないか。1980年代末にリオサミットで世界的に地球全体を考える時、持続可能性が重要であるとの国際的な合意が出来た。この時の持続可能の定義は「今の世代に必要な自然、エネルギーを使い過ぎて次の世代が使えなくなることがないようにするということ」だった。しかし現在は意味合いが変わってきている。 

 これからを考える時、「生き続けられる都市とは何か」をまず人口がどうなっているかということから考えてみます。前回の国勢調査をもとに国立社会保障・人口問題研究所の作成したデータを元に見ると、現在愛媛県は142万人の人口があるが、、2035年には112万人と30万人も減るという予測がある。今治市は11万9千人・松山市は45万6千人。これは、国勢調査を元に2000年から2005年の年齢階層別の人口の変化と20歳~40歳の女性が産む子どもの数を計算して、さらに死亡数、異動を考えて導き出しています。今治市と松山市を比べると松山の方が減り方が緩やかである。全国的な流れとして大都市ほど予測より減少が緩やかで、地方に行くほど予測より急減している。

今治市を年齢階層別に見ると、も高齢者の比率が増えてくる。人口の多い団塊の世代が急激に高齢化するためで20年間でこれをどう乗り切るかが問題となってくる。出生数が増えても急激な増加は見込めないし、人口構成も変わらない。また、単独世帯が増え、核家族は減少、世帯規模の縮小へと向かう。ひとり世帯か夫婦のみの世帯が60%を占める。

  100年間で日本の人口は3倍に増えて、今一番多い状態だが、今後100年で3分の1に減るという予測がある。各県別に見ると、1960年~80年くらいは愛媛を含め、人口増加の県が多かったが、90年代からは減少する県が増えてきている。これからは人口増加を前提にしたまちづくりから転換しなくてはいけない。

  都市は形成期、成長期、成熟期、停滞期というサイクルがあるが、停滞期からどう再生するかを考える必要がある。人口の面で見ず、経済や精神的な面でとらえる必要がある。これらを悲観的に捉えないで、都市の魅力、価値、持続力を高め、生活と空間の質をどう維持するか考える必要がある。

  

今治市の人口減少による都市空間変化予想では2005年のDID(人口集中地区)は6万5千人でそれ以外が10万9千人住んでいる。2035年,人口減少は避けられないので人口比率をどうするのか。AのDID人口が同じだとすると郊外人口が半分程度になってしまう。これは都市集中コンパクト型。Bは人口比率を変えないままDIDも変えていく姿。CはDIDを維持したまま人口減少を招く形。その際30%は空き地の状態ができる。どの都市を描くかによって都市の様相は変わってくる。

  ドイツのシュリンキングシティ(縮小する都市)では人口が減少していく小さくなるまちづくりを行っている。具体的には、取り壊し・減築、建築文化上価値のある建造物の修復、都市機能を変化した社会状況に合わせること。取り壊し・減築により生まれた空間は、生活環境の改善のために活かす。多くの空家を抱える地方自治体が補助金を受けるための最も重要な前提条件は、総合的な都市発展のためのマスタープランの策定であった。

ライプチヒは旧東ドイツの大都市で工業都市として栄えていたが、人口減少が進んでいく中でこうした変化を受け入れて都市計画を行っていこうと居住、商業で郊外よりも都市部の魅力を高めている。ヨーロッパの都市との連携といったことで投資を呼び込むことを実施した。  

同じくドイツのコトブスでは人口減少予測に基づき、地区の都市改造による都市発展のチャンスをとらえた。2002年:都市改造に向けた積極的な検討・都市改造コンセプトの決定を行い2つの戦略-都心部の価値向上+9000戸の住宅取り壊しによる外部から内部への縮小を目指した。2020年:人口減尐予測に基づき4000戸の住宅の取り壊しを行った。

  ドイツでの衰退都市の対応策

1.緊密な都市連携。地域間協力による地域連携

2.周辺地域の基礎インフラを確保し「中心地」と「分散型集中」

3.地区レベルにおいて、都市改造区域を明示

4.都市拡張から管理された形での撤退する考え方へ

5.市街地を農地や緑地に戻していくリゾーニング

6.風景計画あるいはオープンスペース計画が重要な役割

7.公共交通、エネルギー、コンパクト都市、インフラコストなどに着目したダウンサイジング

8.産業跡地の再生あるいは暫定利用

9.低密度化とオープンスペースを持ったインナーシティーの高質な住宅

10.新タイプの都市型居住、多様なライフスタイルに応えられるコミュニティーのブランド化

11.商業、サービス、ぶんか、通信機能など多様な魅力のインナーシティ強化

12.高齢化などの危機を都市再構成のチャンスに活かす

13.自治体、プランナー、企業、地権者、住民との新たなパートナーシップ

14.問題エリアの改善プログラム等社会問題と結びついた都市改善

15.衰退と成長のモニタリングによる状況変化に柔軟に対応できる仕組み

16.都市改善のプロセスに住民、市民が参加、計画作成、体験する仕組み

等が挙げられています。

   商店街の自己評価 全国の商店街にアンケートをした結果、良くなってきていると答えたのは6.4%のみで3分の2は衰退していると答えている。中心市街地は「顔」以上の役割がある。自慢できる、快適な生活ができる。外からやって来たくなる、モータリゼーションに頼らないエコな生活ができる、創造産業が発展するなど多くの役割がある。都市の魅力は居住と就業だけでなく、第3の場所=パブリックスペースが賑わってこそ都市の魅力がある。

 都市の魅力はJ・ジェイコブスの「アメリカ大都市の死と生」によれば、『多様性と人間スケールの空間で繰り広げられる密度の濃い生活』であり、『美しい都市、そこにしかない都市、住んで快適な都市、文化を享受できる都市、多様な価値観を受け入れてくれる都市、こうした都市は持続的な地域経済にとっても重要な要素』と言っている。近代都市計画は区分わけして、しかも車前提で拡大している。

  中心市街地活性化策の発展 まちづくり3法で90くらいの活性化政策が認定されたがうまいこといっていない。その理由は商業振興、不動産の所有・利用の個別一体、駐車場整備、ワンパターンの空間デザインなどを行っていることなどが挙げられる。これからは商業振興と基盤整備を転換しなければならない。多様な機能、地域特性による対応、魅力ある商品・サービスの提供、公共の意識・不動産経営に徹するなど全体を良くする姿勢が大事。

 

イギリスのバーミンガムの都心再生は、かつての産業都市の活性化に連続した歩行者空間とその周りに国際会議場、図書館等点と点を連続して結び動線を作った。都心再生(リングロードの内側の800ha):再生事業の成功の始まりは、ニューストリート駅からキャナルサイドまで連続した歩行者空間の形成とその周辺の一体開発である。90年代後半から、既存の建物の改修や、商業、オフィス、飲食店に再開発。公共空間(広場、通り)、公共文化施設・集会施設の立地。歴史遺産の運河と周辺の整備。近接する産業空間の再開発と新産業誘導した。住宅地の再生:衰退した公営住宅地を中心に、取り壊し、保全修復、再開発。荒廃した近隣地区の再生。戦略的なパートナーシップ(公共、民間、大学、コミュニティ、ボランティアが協働)を組み、9地区でSRB事業(貧困地区での競争的政府補助金)を行った。

 国内事例では、日本で成功といえる事例は高松市の丸亀町商店街と富山市のLRT(路面電車)。高松は年間300くらいの視察団が来るまでになった。ここは敷地単位での個別利用をやめ、町にとってもっともふさわしい使い方を決める。利益は権利者に分配。土地の所有権に定期借地権を設定。再開発会社が一括して管理運営。核となる再開発事業と意見がまとまったところから再開発する共同建て替え方式。魅力的な公共空間、新しい品揃えとサービスを創り上げ、若者が出店できるスペースと機会を外部の権威と知恵を利用し再生している途中である。

 都市も年数を経て、変わっていき、社会の歴史が変わっていくが、場所は大事で保存しようという『場所の力』という考え方がある。場所にはまちを再生したり、人を引き付ける力がある。新しいものを作る時は、全く新しい物を造るのではなく、場所の力を考えた上で造らなくてはならない。イギリスのストーンヘンジへ行くと、造った人の想いのようなものを感じるが、今治でのまちづくりでも新しく造る、壊すという時に、場所の意味、役割を考えていただきたい。

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