Home > シビックプライドスクール > 今治シビックプライドスクール 第2回

今治シビックプライドスクール 第2回

 

―第2期 みなとを取り巻く「まちなか」とはなにか― 

                    【まちの空洞化・砂漠化を考える】

中心市街地の活性化と地方都市の再生 ―都心居住を中心にして― 

 

日時:平成22年11月11日(木)

午後7時00分~午後9時00分

場所:今治中央住民センター

講師:松山短期大学教授 青野 勝

1.中心市街地の活性化と都心居住の必要性

   近年、中心市街地の空洞化が問題となっている。愛媛においても、中心市街地の居住人口が減って高齢者比率が高まってきている。90年代から始まっているが、何が問題かというと、投資対象としての魅力を失っている。郊外立地に後追いで公共投資をする結果、二重投資になっている。都市に対する帰属意識「コミュニティ・アイデンティティ」が失われている。

 中心市街地の居住人口が減少した原因は、自動車依存の交通、大規模店の郊外化、都心部の住宅地価の上昇等がある。都心部の地価が高いのは、業務用地が拡大した相続税制や譲渡所得制度により、土地をなかなか手放さない人が多い。だから都心居住の促進には、地価を考慮した対策が必要である。土地の所有と利用を分けて、借地方式を使って土地の有効利用を図ることが必要である。80年代と比べて、中心市街地の地価が大きく下落している状況は、都心回帰の好機である。

 中心市街地活性化の意義は、中心市街地はまちの『顔』である。まちの顔といっても意味と評価基準が示されない限り、政策基準とはなりえないのが現状です。それができれば、市だけではなく、都市圏全体を活性化するための重要な手段である。政策基準は、消費者・生活者にとって効率的な都市構造を形成できるかどうかで、都心と郊外を対立軸でとらえるのは間違い。

  都心居住推進の必要性は、地方都市のスプロールを抑制し、自動車依存の交通混雑を解消することが急務である。都心部に良質の住宅を建設することで、防災面の向上と地方都市の町並みや風格という観点から重要。イギリスの経済学者アーバークローニーは都市づくりの目標に《美しさと健康、便利》さと説いている。また、都心居住そのものが購買力の増加にもつながる。

  改正都市計画3法により、大規模店舗の抑制はされてきているが、それによって、不便を蒙る人もいる。

 コンパクトなまちづくりの例では、青森市が1970年~2000年の中心市街地から郊外への人口流出で約350億円の無駄な公共投資が起こった。富山市では2000年から2020年に郊外人口が18,900人増えて、その結果、約177億円の追加投資が必要になるとの試算がある。そこで青森市はウォーカブルタウンの創造で歩きやすい都市を目指した。富山市は徒歩と公共交通によるまちづくりを目指して、一極集中ではなく、徒歩圏と公共交通を軸とした都市構造を目指した。

 2.都市居住を推進するための施策

  ①「特定優良賃貸住宅制度」や「高齢者向け優良賃貸住宅制度」など国の補助策があるがあまり活用されていない。高齢化に向かって高齢者の都心居住が重要になってくる。それによって、医療費、介護費用が抑制できる。

  ②定期借地権方式の活用(タウン・ハウス方式やスケルトン方式の採用など)山形市は中心市街地においてPFIを活用している。民有地を借り上げて公営住宅を建設した。高松市の丸亀町商店街はまちづくり会社と地権者が定期借地権を結んで活性化を図っている。

  ③山口市は都心居住促進ための「住まい・まちづくりセンター」の設置を行い。若手の建築士がまちなかの川を蛍が住める綺麗な川にしたり、伝統的な建物を守ったり景観を造っている。飯田市の「まちづくりカンパニー」はディベロッパーの機能を持つ独立採算制を敷いている。

 ④都心部の優良賃貸住宅への家賃補助、民間の賃貸住宅を公営住宅として借り上げ。

 ⑤定期借家制度の活用により、郊外の持家を処分することなく、家賃を得ながら街中へ住み替えを可能とし、都心居住の促進を支援する。福岡県では「福岡県安心住み替え情報バンク」で不動産業者と連携して持家の定期借家を円滑に行っている。

 ⑥不動産取得税、登録免許税などの土地取得にかかる税の軽減、建物の固定資産税の軽減。事例として、金沢は伝統的な一戸建てを建てるときや、都心部のマンション建設に補助を行ったり、昭和20年以前の建物を改修するときにも補助している。

3.地方都市を再生するための組織

 中心市街地活性化法により、TMOができた。これはアメリカのBID(Business Improvement District)を参考にできた。BIDは中心市街地の一定地区を対象とすること、地域内の多数の不動産オーナーの同意を得、その地区の不動産に賦課を課すことで財源を得ることができる。サンセット方式では、概ね5年で利益を得てないBIDは存続できない。タウンマネージャーは様々なまちづくり会社で実力を付けいく。日本の場合はアドバイザーだったり、コンサル的な位置づけである。

 日本のTMOは中心市街地全体を対象としているがマンパワーが少ない。独自の財源が無いなど目標と評価の方法、責任の所在が明確でないなどの特徴があり、補助金の受け皿になったり、限られた事業しかできていない。

 地方都市のTMOやまちづくり会社が発展していくために目標の妥当性と評価可能な具体的な目標設定が必要。商店街はデパートとは違い、業種が違うのでマネージメントが難しい。活性化のためには【事業実施】【評価・提言】【調査・研究】この3つの機関が必要である。

 浜松市は「都心政策研究会」から提言を受けて「都心再生戦略会議」が活性化策の調整・決定を行う。その結果を基に、公共事業は浜松市が行い、民間事業・官民協働事業は「都心再生タスクフォース」が事業単位で結成し行っている。「都心再生戦略会議」は行政から独立し、事業の投資採算性を査定し、事業の実施順位を判定する重要な役割を果たしている。

 領域は、①都心産業の育成、都心商業の誘導②都市ブランドの構築③都市交通システムの構築④都心居住の促進等「都心政策研究会」はシンクタンクとして位置づけられ、構成員は、経済界・金融界・学識経験者であり、財源確保のために、財力ある構成員がいる。 

 シンクタンク機能を持った政策提言機関(仮称)まちづくりセンターを創設したらどうだろうか。それがノウハウの蓄積、成果の共有化を図る。今までは中心市街地の活性化・地方都市の再生のための調査・提言は、外部のシンクタンクに委託することが多かった。それでは地域にノウハウが蓄積されず、成果も共有されない。事業家のために最も重要な財源調達と人材確保の方策が示されていないことが多い。

 (仮称)「都市再生事業評価委員会」の創設によってまちづくりの評価をすることが必要である。これは行政や利害関係者から独立した組織でないといけない。今までは利害関係団体の意見を代弁するか、案を正当化するものでしかなかった。組織の専門性・中立性を担保するためにも、評価基準の明確化が必要である。

 将来にわたる最適化を求める組織づくりのために、現在の「価値」は過去に何を成し遂げたかではなくて、将来、何を成し遂げるかによって決まる。過去に成功した場合は、それにこだわって、将来最適な組織づくりのために障害になる場合がある。そのためには、投資採算性と外部組織の評価を組織の決定に組みこまなくてはならない。まちづくりにおいては、短期的なフローと地域の資源を豊かにする観点が重要である。

 まちづくりには、専門家と共に、若者、よそ者、馬鹿者が必要であると言われる。若者とは、将来の展望を持って行動するものであり、よそ者とは、新しい発想や客観的な評価ができる者であり、馬鹿者とは、情熱を持ち、自己の利害を超えた行動ができる者である。個々人は短期的利益ではなく、長期的利益を追求する組織づくりが求められる。

 地域の将来便益を最大化という観点からは、中心市街地の再活性化・都市再生事業が要か否かは、冷静な費用便益分析が必要である。過去にどれだけの便益を生み出したか、どれだけ費用をかけたではなく、将来、どれだけの便益を生み出すかの現在価値である。費用とは、初期費用と維持管理費、機会費用が含まれる。便益とは、将来どの時点から便益が発生するのか、どの程度か現在価値は一定の割引率で割り引く必要がある。従来の活性化基本計画・基本構想は、費用・財源が示されていないことが多い。公共投資は費用便益分析がなされても、その信用性が理解されず、工期の遅れなどで便益の発生が遅れることがある。いつ完成するかわからない事業の便益は測りようが無い。

 地方私立大学と地方都市再生 0歳児保育で成功した短大出の方は、子どもが好きでいつも見ていたいが、仕事ができない。そこで0歳児の託児所を開設した。施設面では、病院、スーパー等の既存の施設を使って託児所を開く。サービス面では優秀な人材を集め、様子を写真で公開している。

  今治のような地方都市においても、大学を誘致して活性化を図ることは有効である。大学を理系の大学で100億以上、文系で30億以上。既存施設を使用すれば数億円で済む。いずれにしても既存の大学と競争して勝てるような教育を行える人材を集め、発信することが重要である。

Comments:0

Comment Form
Remember personal info

Trackbacks:0

Trackback URL for this entry
http://icpc-imabari.jp/blog/wp-trackback.php?p=2610
Listed below are links to weblogs that reference
今治シビックプライドスクール 第2回 from ICPC今治

Home > シビックプライドスクール > 今治シビックプライドスクール 第2回

Search
Feeds
Meta

Return to page top