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第7回今治シビックプライドスクール開催報告

 

「みなと再生とまちづくり」

日時:平成22年3月9日(火)

午後6時30分~午後8時00分

場所:美須賀コミュニティプラザ

講師:㈱地域計画建築研究所

       大阪事務所長 森脇 宏

 まちづくりのコンサルタントをやっています森脇と申します。よろしくお願いします。今治のことをよく知っている訳ではありませんが、外からお客さんを呼ぶ場合、中の人だけでは分からない部分もありますので、その辺で参考になるお話ができれば、と思っています。

 本日のお話は、前半で弊社が携わったみなと再生の事例を、今治にとっての教訓を意識しながらご紹介いたします。そして後半では、私に与えられたテーマ「みなと再生とまちづくり」について、皆さんと一緒に考えてみることにします。

 

1 弊社が携わった「みなと再生」の紹介

(1)高松港(サンポート高松)

      瀬戸大橋開通の影響で宇高連絡船が1988年に廃止になり、高松が地盤沈下をするのではないかとの危惧があり、連絡船ふ頭の跡地やJRの貨物ヤード移転跡地等を活かして再開発しようと計画が始まりました。私は1983年から93年まで10年間、高松に通い、当時の国土庁、建設省、運輸省、通産省の合同調査から始まり、その後、高松港の港湾計画、ポートルネッサンス調査、景観調査、旅客ターミナルビルの調査などを担当しました。現在、港湾部分は大体整備できていますが、建物部分は、まだ半分できたくらいの段階です。

計画面で評価できることは幾つかありますが、私が提案した「瀬戸の都・高松」というキャッチもその一つだと思います。これで、どんな再開発をするのか、イメージが絞られたと思います。このキャッチは、4省庁の合同調査の委員会で、「四国の県庁所在地の中で、これだけ港と街が近い都市は高松しかない」という意見があり、これを取り入れて提案しました。

いずれにせよ、高松は今治の倍ほどの人口があり、しかも四国の玄関口で、県庁所在都市でもあり、JRと私鉄が直結しているなど、恵まれた条件がありました。それでも、まだ整備は途中段階ということに留意すべきだと思います。

(2)石川県 七尾港(七尾フィッシャーマンズワーフ)

   石川県・能登半島にある七尾市のフィッシャーマンズワーフです。1階が水産中心の物販、2階が飲食でなかなか盛況です。事業主体は香島津という第3セクターです。県と市が出資していますが、地元経済界が主導する第3セクターです。七尾市の人口は約6万人ですが、年間利用者は90万人にも上って黒字経営で、第3セクターの優等生と言われています。

この事業は、地元の青年会議所が大きい働きをしました。1985年に七尾市民大学講座という勉強会を年6回開催し、翌年に市民アンケートを実施して「七尾マリンシティ」構想を提唱しました。同年、行政や各団体に参加してもらい、七尾マリンシティ推進協議会を発足し、87年~88年にポートルネッサンス21調査を行い、フィッシャーマンズワーフ等の計画を立ち上げました。さらに、89年~90年に能登国際テント村を開催し、金沢まで広報活動を行って約16万人を集客し、品揃えや、売れ筋商品の調査も行いました。これなら行けるとの判断から、90年に株式会社「香島津」を設立し、翌年、民活法の特定施設「旅客ターミナル施設」の認定を受け、同年9月にオープンしました。

成功要因は初期投資を徹底して抑えたことと、民間主導の3セクだったため責任が明確化できたことだと思います。また、近くに和倉温泉(年間150万人の宿泊客)があったことも要因だと思います。

七尾の事例は、人づくりの点でもたいへん優れています。毎年、アメリカのモントレーに視察団を派遣し、何人かの子供もホームステイに連れて行っています。ホームステイに行った子供が、その後、大学で「まちづくり」を学び、「まちづくり」のコンサルタントに就職誌、現在七尾に帰って活躍しています。こうしたことも含めて、フィッシャーマンズワーフ以降も様々な取り組みが続き、七尾は地方の小都市ながら、元気があるまちとの評価を受けています。

(3)徳島県 小松島港(みなと交流センター)

    1998年に明石海峡大橋が開通した影響で、翌年に南海フェリーが休止、その後廃止となり、南海フェリーターミナルビルも遊休化してしまいました。港を何とかしようと「小松島港ワークショップ」が開催され、フェリーターミナルビルの利用アイデアが数多く出され、そのアイデアを「小松島港本港地区等活性化検討委員会」に報告するという形で議論がスタートしました。小松島の発祥は港であり、港がさびれるのは心苦しいと、市民が奮起をしました。2000年にはフェリーターミナルビルが小松島市に譲渡され、再度ワークショップを行い、「小松島港港利用企画調査委員会」で検討しながら、フリーマーケットを開催したり、ターミナルビルの無料開放などに取り組みました。そういった実験をしていくうちに、管理はどうするかという議論になり、NPOが検討され、2001年にNPO法人「港づくりファンタジーハーバーこまつしま」が設立されました。ターミナルビルは「小松島みなと交流センターkokoro」という名前になり、NPOが管理できるように「小松島市交流センター条例」も市議会で議決されました。

NPOの業務としては、ターミナルビルの管理運営、ビジターハーバーの管理運営、市の友好都市である北海道紋別町との地域交流事業、コンサート・フリーマーケット等のイベント企画・運営事業、まちづくりセミナーの研修等を行っています。

成功の要因としては、市民参加の計画、管理が重要でした。ワークショップを通じて市民の声を集め、徳島大学の山中教授に適切なご指導も受け、市民を応援する行政の存在もありました。人口約4万人の小松島市でも、これくらいのことができるのです。

2 「みなと再生とまちづくり」とは何か

    それでは、以上の事例を頭の片隅におきながら、いただいたテーマ「みなと再生とまちづくり」について考えてみましょう。本来、皆さんと議論して考えるものですが、本日は想像でお話ししてみます。

まず、「みなと再生」の目的と目標を考えてみました。目的(何故、再生するのか)としては、おそらく「みなとを活かしてまちづくりに活用したい」ということだと思います。それでは、目標(どんなみなとに再生するのか)はどうでしょうか。報告書「みなと再生構想」を読んでみると、「市民や観光客の憩いの場」にしたいようで、キーワードとして、楽しい、賑わい、感動、交流などが挙げられそうです。

さらに、「まちづくりの課題」についても想像してみました。おそらく「今治駅~今治港の間の中心市街地の活性化」が大きく、「住民が減って、高齢化している」「買い物客が来なくなり、空き店舗も増えている」などが問題になっていると予想されます。さらに、「みなと活用」の観点からすると、「市民や観光客がみなとで親しめる場所がない」「旅客船の乗降客もみなとを素通りしている」「みなとで成長してきた今治のDNAが途絶えてしまう」も課題かもしれません。

このように考えますと、「みなとに期待される役割」が見えてきて、「みなとまち今治のシンボルエリア」となるのではないでしょうか。例えば、「市外から来た自分の知人を連れて行って自慢できるところ」「お洒落して出かけることができるお洒落な場所」「今治独自の情報や最新の情報が全て集まるところ」として位置づけてはどうでしょうか。

3 「みなと再生」の方向性

こうした考え方で「みなと再生」の方向性を考える前に、今治らしさを打ち出すため、活用できる素材を確認しておきます。

思いつくままに挙げますと、目の前に広がる多島美、旅客船・フェリー、内港の船だまり、漁港、今治城などがあり、これだけ多様な景観要素が揃っているみなとまちは、四国では一番ではないかと思います。全国的に見ても、横浜、神戸を別格とすれば、函館、舞鶴、門司、長崎、鹿児島など、数える程度だと思います。ただ、素材は素晴らしいのですが、綺麗に磨き上げる必要があると思います。

こうした素材を活かした「再生の方向性」を考えますと、「眺望を売りにしたお洒落な住宅」「時代の最先端を行く産業、例えばITやベンチャー)のオフィス」「瀬戸内海の特産品を体験できる店」などが思いつきますが、この辺のイメージは、最後にもう一度触れることにします。

4 「みなと再生」事業の進め方

      「みなと再生」については、方向性と同時に事業化の方法を考える必要があります。事業化を考えずに議論することは、「絵に描いた餅」にしかすぎません。事業化検討では、次の3点が重要だと思います。

まず1点目は、コスト抑制型(ストック活用型)で進めることです。行政の財政事情も厳しい中、いかに既存のものを利用して、コストを抑制するかが重要で、七尾や小松島を参考にしてください。

2点目は、協働型(市民、企業、行政による協議会方式)で進めることです。行政中心で行うには柔軟性が欠けるなど困難が多く、とは言っても行政以外の単独事業体でもリスクが多いため、多様な主体の協働が必要です。ただ、多様な主体がバラバラに取り組まないように、ミッションの共有化や、ベクトルの統合化ができる協議会が必要です。また、こうした協議会があることで、市民や企業は安心して取り組めるし、行政も支援しやすい状態が生じることになります。

3点目は、有志による事業主体づくり(この指とまれ方式)が重要です。個々の事業は、多様な主体の「どこか」が担当してくれればいいのですが、そういう主体がなければ新たにつくるしかありません。この点でも、七尾と小松島は参考になると思います。

5 何ができるのか

      以上の事業の進め方も考慮した上で、最後に「何ができるのか」について、思いつき的な提案をしてみます。十分検討したものではありませんので、間違っているかもしれませんが、議論のたたき台にしてください。

まず、住んでもらうために「何ができるのか」です。海の眺望が楽しめるお洒落な住宅、例えばプレジャーボート係留権付き住宅などが有力です。いい場所があれば民間でも可能な事業です。

次に、働いてもらうために「何ができるのか」です。低未利用ビルがあれば活用したいところです。例えば、アーティストの創作・発表空間、先端企業のオフィス、ユニークな実験的レストランなどがあり、これらは家賃負担力が脆弱なので、比較的低家賃の古いビルや低未利用ビル等の提供が必要です。既に各地で、こうした活用の萌芽的取り組みが始まっています。

最後に、遊んでもらうために「何ができるのか」です。私個人の好みになりますが、瀬戸内海の幸(さち)が「丸かじり」できるところがほしいと思います。漁港もあり、イメージが活かせますし、観光魚市場は比較的手堅い事業だと思います。事例でご紹介した七尾フィッシャーマンズワーフもそうですし、中小業者だけで取り組んでいる舞鶴とれとれセンターも年間70万人を集めています。

最後は、議論の取っ掛かりとして、思いつきをお話ししましたが、少しでも参考にしていただいて、何か一つでも動きが出来ればなあ、と思っています。ご静聴ありがとうございました。

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