川根振興協議会 行政参画の自治①

 

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広島県安芸高田市高宮川根――。

今治市からおよそ4時間バスに乗り訪れた土地は島根県との県境。

携帯を見ると、ソフトバンクは圏外の土地。

ここをなぜ訪れたかというと、住民自治組織 川根振興協議会の活動を見学するためです。

 

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川根振興協議会

 

川根振興協議会のこれまでの活動を辻駒健二会長の文章から抜粋して紹介します。

 

「地域にいきる」―住民主体のまちづくり―

―誇りと自信の持てるふるさとを目指して

 

災害復興と過疎化への危機感から活動を開始
 川根地域は広島県北部、安芸高田市の北端に位置し、19集落、戸数252戸、人口589人の山間地域にあります。
 昭和40年代からの高度成長期に人口流出が加速していった中で、昭和47年7月、大洪水により川根地域は壊滅的な災害を受け、陸の孤島と化した。この災害は過疎化に一段と拍車を掛けたそうです。
 「行政は全てのことはしてくれない」「自分らにできることは自分らの手で」と昭和47年2月に結成された「川根振興協議会」は、被災を契機とした復興への強い意志と過疎化、高齢化による地域の将来への危機感から、地域福祉や生産活動など、川根に住み続けるための広範な活動を開始しました。
 組織は旧川根村を区域としており、区域内に住んでいる人は全て振興会の構成員であり、区域内のさまざまな団体も全て振興会の構成団体であるという基本的な考えに基づいて組織されています。

 

交流拠点整備と地域資源を活かしたイベント実施
 学校統合により廃校となった中学校の跡地活用について、施設整備の企画段階から振興会がかかわり、施設規模や地域での位置付け、施設の管理運営などについて協議を行い、平成4年に交流拠点施設エコミュージアム川根が整備されました。

 

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エコミュージアム川根

 

現在は、指定管理者制度によって振興会を中心とした組織が運営しています。

また群舞するホタルの生育環境を守ろうと河川清掃、生態学習、家庭排水対策などや景観整備の活動を始めました。振興会は、こうした集落の活動を「人の流れ」から「小さな経済」につなぐため、国や県の関係機関の参加を得て、自然保護啓発を主としたイベント「ほたるまつりin川根」を開催しています。

 

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ほたるまつり会場 

 

「そっと差し出す手の温もりが笑顔を招く」と書かれた竹筒の貯金箱が、各家庭や事業所に設置されている。一人ひとりが大切にされ、安心して住める地域づくりのため、一人一日一円募金が行われています。この募金を財源として、毎週木曜日一人暮らし高齢者の給食サービスを続けています。

  

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地域の担い手確保から生活・福祉対策まで
 地域の担い手確保のため、入居者が住宅の設計段階から参加できる「お好み住宅」があります。地域活動への参加や義務教育終了までの子どもがいることなどが条件で募集しています。現在20世帯が入居しています。

 

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 農協(JA)の統廃合により、店舗や給油所が廃止になりました。地域から店舗がなくなれば、車が使えない高齢者などにそのしわ寄せがくることから、JAから施設を譲り受け、一戸当たり千円を出資し「ふれあいマーケット」「ふれあいスタンド」として運営している。

 

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 こうした生活や福祉、担い手の確保や農地の維持にとどまらず、道路改良や河川改修などの事業用地の確保についても、「自然と人の共生」とした地域理念を基に、地域の景観保全を考慮しながら、振興会が事業提案を行い、そのために必要な用地の調整も行っています。
 川根に気持ち良く住み続けるため、自ら提案し、責任を持って行動する。誇りと自信の持てるふるさとを目指して、生活の中からの取り組みを続けています。

 

 

行政との協働による提案型の地域づくり
 こうした活動は、「自らの地域は自らの手で」とした主体的な地域活動と、それを的確にサポートする行政との協働によってつくり上げられたものです。その起点となったのは、住民と行政の対話の場「地域振興懇談会」であった。この会は行政との課題共有や情報共有を図る目的であったが、当初は一方的な要求の場でもありました。
 回を重ねる中で、住民として担うべきこと、行政がすべきこと、双方が連携して取り組むことなどが整理され、要求型から提案型への懇談会となってきています。また、組織運営は、リーダー一人で担い切れるものではなく、さまざまな分野の人材を探し出し、意を同じくする仲間と共に役割・責任の分担を図ることも必要です。
 活動の展開に際し、地域に住む行政職員のサポートには心強いものがある。地域への情報の蓄積、行動のためのアイデア、煩雑な事務処理など、職員には地域活動の下支えとして、さらには、まちづくりの仕掛人またコーディネーターとして、自覚を持ってさまざまな活動に関与してほしいものである。

 

成果を地域と共有する感動ある活動展開を
 まちづくりは「行政参画」であるべきととらえている。主体的な住民自治活動に対して、行政は積極的な情報開示とともに、財政支援や人的な支援など的確な支援で応えていただきたい。
 過疎・高齢化の進行で将来の不安はぬぐえない。しかしながら、地域の皆さんが誇りを持ってここに住むための川根振興協議会であり続けたい。「皆で考え、悩み、共に行動する」その成果を皆で共有し、感動できる活動を今後とも展開していきたいと考えている。

 

これが川根振興協議会のこれまでの動きです。『自分たちのことは自分たちの手で』あたりまえのことのように思いますが、あたりまえでない世の中が今訪れています。

明日は辻駒会長とのお話の中で出てきたきらびやかな言葉を紹介します。